北陸の神社 「安波賀春日神社と瀧殿社」(福井県福井市安波賀町)

北陸の神社「安波賀春日神社と瀧殿社」(福井県福井市安波賀町)

(写真下:安波賀春日神社(福井県福井市安波賀町)<*2025年8月19日午後訪問撮影>

福井市文化財指定
帝都東北鬼門除守護神・元一乗谷朝倉氏戦勝祈願所
旧県社 安波賀春日神社 略誌
一、祭神 

天児屋根命(あめのこやねのみこと)、武甕槌尊(たけみかづちのみこと)、経津主命(ふつぬしのみこと)、比売大神(ひめおおかみ)
一、創建 
治暦4年(西暦1068年)
一、縁起
当社は、御冷泉天皇治暦4年(1068)の創建にして、帝都東北鬼門鎮護のため建立されたる社である。同年5月13日当社勧請、卜部兼忠奉弊勅使として宣明の儀がある。以来御冷泉院勅願所となる。当時、当社は王城の鬼門除であったため社領3万有余石を寄せられ、国中第一の大社として毎年勅使の参向が行われる。元暦年中(1184)斎藤実盛の弟実季(さねき)、春日絵を奉納、康永元年(1342)2月 朝倉広景公、社殿を補修して神事能を挙行される。永享4年(1432)浦松左大臣重盛の女より願文があって華表、鰐口、戸張等を寄進される。当社愈々繁栄するも寛正元年(1460)阿波賀城戸口合戦あり本社殿焼失する。一乗谷初代城主朝倉孝景公 寔に崇敬厚く、更に社殿を再建し数多の社領を寄進される。以後、朝倉氏代々深く当社を尊崇して戦勝祈願所とされる。愈々国中の崇敬される所となり社運隆昌なるも、朝倉氏5代当主義景の時に至り、織田信長侵攻激しく天正元年(1573)8月、遂に朝倉氏は滅亡し一乗谷治世103年の歴史を歴史を閉じる。この時、一乗谷中 大兵火となり当社も焼失、神官吉田定澄 御神体を奉じて難を江戸に逃れるという。
越前松平氏治国の時に至り、7代藩主吉品(よしのり)公、その古社なることを知り深く崇敬されて土木を起こし、元禄10年(1697)現社殿を再興され、同時に別宮瀧殿社(たきどのしゃ)を造営される。この事、中納言実種卿の耳に入り歓喜の余り奏聞あって勅額を賜る。同11年実種卿は時の諸侯に筆を取らせて三十六歌仙の額を奉納され、正徳2年(1712)10月 邦公、社領50石を寄進される。以後、松平氏の崇敬厚く毎年社参され上下の尊崇も極めて厚かったが維新以来社領廃止となり、古杉鬱蒼、建築古雅なる社も次第に衰えるに至る。明治8年(1875)6月 県社に指定される。昭和3年(1928)2月、安波賀春日神社改修奉賛会を組織し以来事業を翼賛せられ、同9年(1934)4月、遂に社殿及び境内参道等の大改修事業が完遂する。同時に当社創立850年大祭を執行する。昭和63年(1988)4月13日、本社殿、瀧殿社、社叢が福井市文化財に指定される。
一、境内神社 瀧殿社(たきどのしゃ)
越前松平家七代藩主吉品公は、剛腹だったが一面心迷うところが多く、一乗谷朝倉氏滅亡時に残したと伝える「以後越前の国主たる者には子々孫々に至るまで祟るべし」との怨み言を殊に心がかりとする。これまで初代秀康、二代忠直、四代光通、六代綱昌と不運不幸が重なっている。現在将来とも恨み言が事実として出現することを殊に恐れる。そこで、朝倉氏の怨霊除去、松平家繁栄のため第一に着手したのが安波賀春日神社の再興(1697)である。また、同時に造営した瀧殿社には、朝倉氏を祭り御神体として義景常用の馬具の一部を社地中深く埋蔵したという。越前松平家が朝倉氏を一門一族同様にその御霊を祭ったのは実に瀧殿社建立の時からだという。他に、境内社として、大国主神を祭る大地(おおとこ)神社、宇迦魂神を祭る稲荷神社の二社が鎮座。

(写真下:安波賀春日神社(福井県福井市安波賀町)の明神鳥居 <*2025年8月19日午後訪問撮影>

(写真下:安波賀春日神社(福井県福井市安波賀町)の両部鳥居<*2025年8月19日午後訪問撮影>

(写真下:安波賀春日神社(福井県福井市安波賀町)の本殿<*2025年8月19日午後訪問撮影>

安波賀春日神社は、福井県福井市安波賀町にあり、安波賀(阿波賀(あばか))の地は、戦国城下町の一乗谷の下城戸の外の町ながら、朝倉氏が一乗谷に城下町を築く以前から、近衛家領宇坂庄の西端に位置し宇坂庄内の中心的な場であったと見られ、平安時代末期に勧請されたと伝わる。春日神社縁起では、第70代天皇・後冷泉天皇(1025年~1068年:在位1045年~1068年)が、”帝都(平安京)東北鬼門鎮護”として、治暦4年(1068)に創建され、以来、後冷泉院の勅願所となり、この為に社領3万石を寄せられる事となり、”国中第一の大社”として毎年勅使の参向が行われた。その後、一乗谷初代城主・朝倉孝景(1428年~1481年)に深く崇敬され、以後朝倉氏の戦勝祈願所として隆盛を誇るが、織田信長の激しい侵攻によって朝倉氏が滅亡し、一乗谷治世103年の幕が閉じられ同時に大兵火に巻き込まれ焼失。1697年に、越前国福井藩主7代目・松平吉品(よしのり)(1640年~1711年。5代藩主・松平昌親と同一人物)により現社殿が再興され、同時に別宮の瀧殿社も造営される。1875年「県社」に指定。1988年には、本社殿と瀧殿社、及び社叢が福井市文化財に指定されている。

春日神社の御祭神は、祝詞の神・言霊の神・出世の神の天児屋根命(あめのこやねのみこと)、武道の神の武甕槌尊(たけみかづちのみこと)、武道・スポーツの神の経津主命(ふつぬしのみこと)、天児屋根命の妻神の比売大神(ひめおおかみ)。参道の石段は笏谷石で造られ計108段あり、春日神社の現社殿は、1697年(元禄10年)に再興されたもの。拝殿は木造平屋建てで入母屋造の銅板葺、本殿は三間社流造の銅板葺。1934年(昭和9年)に社殿及び境内参道等の大改修事業が、同時に神社創立850年大祭が行われ、福井市の重要文化財に指定されている。境内社は、春日神社本殿を見下ろす一段高くなった敷地に鎮座する大地(おおとこ)神社と、隣接する小さなお社の稲荷神社があり、大地神社は、商売繁盛・縁結びの神である大国主神が御祭神。稲荷神社は、五穀豊穣の神である宇迦魂神が御祭神。稲荷神社は「安波賀春日神社参詣図」にも記され、稲荷明神の助けにより完成した「子狐丸」の伝説ともなっている。

春日神社の境内社としては、更に、本殿より更に山上に登った所にひっそり鎮座している瀧殿社(たきどのしゃ)がある。越前国福井藩主七代目・松平吉品公は、剛腹だったが一面心迷うところが多く、一乗谷朝倉氏滅亡時に残したと伝わる「以後越前の国主たる者には子々孫々に至るまで祟るべし」との怨みごとを心がかりとした、事実、越前国福井藩主初代・結城秀康、二代・忠直、四代・光通、六代・綱昌と不運不幸が重なっていた。そこで、朝倉氏の怨霊除去、松平家繁栄の第一歩として着手したのが春日神社の再興で、同時にこの瀧殿社も造営し、朝倉氏を御祭神として祀り、御神体として朝倉義景常用の馬具の一部を地中深く埋蔵したと伝わっている。

(写真下:安波賀春日神社(福井県福井市安波賀町)の境内社の大地神社(右)と稲荷神社(左)<*2025年8月19日午後訪問撮影>

(写真下:安波賀春日神社(福井県福井市安波賀町)の境内社の大地神社・稲荷神社から瀧殿社へのアクセス<2025年8月19日午後訪問撮影>

(写真下:安波賀春日神社(福井県福井市安波賀町)の境内社の瀧殿社<2025年8月19日午後訪問撮影>

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