首都圏の中の北陸ゆかりの地「織田得能墓と宗恩寺」(東京都台東区西浅草1丁目)

首都圏の中の北陸ゆかりの地
「織田得能墓と宗恩寺」(東京都台東区西浅草1丁目)

(写真上:宗恩寺(東京都台東区西浅草1-6-7)<*2023年8月21日午後訪問撮影>

織田得能墓(おだ とくのう はか)台東区西浅草1-6-7 宗恩寺<案内板より>
織田得能は、明治時代の真宗大谷派の僧侶。わが国初の仏教の辞典『仏教大辞典』を著した人物として殊に著名である。
万延元年(1860)、福井県坂井郡波寄村(現、福井市)の翫香寺(がんこうじ)住職である生田氏の三男として生まれる。郷里で教員をつとめたのち、真宗大谷派の高倉学寮で仏教学を修め、明治23年(1890)、島地黙雷(しまじもくらい)とともにインド・中国・日本の仏教史を述解した『三国仏教略史』を編纂し、翌年(1891)、宗恩寺(そうおんじ)第24世住職となり、織田姓を名乗った。また、同33年(1900)には、岡倉天心とともに、インド・中国の仏跡を訪ねまわり、その見識を更に高めた。
『仏教大辞典』の執筆は、明治32年(1899)から、得能が亡くなるまで、宗恩寺の土蔵の中でただ一人の力で続けられた。生存中には刊行されることはなかったが、大正6年(1917)、彼の原稿を元に、上田万年(うえだまんねん)・芳賀矢一(はがやいち)・南条文雄(なんじょうぶんゆう)・高楠順次郎(たかくすじゅんじろう)によって刊行され、後学に大きく貢献した。
彼の遺骸は、当寺境内の歴代住職墓に合葬された。平成6年10月には、得能の筆「念仏成仏(ねんぶつじょうぶつ)」の四文字を模刻した頌徳碑(しょうとくひ)を建立した。平成7年3月台東区教育委員会

(写真上:宗恩寺境内にある得能の筆「念仏成仏」の四文字を模刻した頌徳碑(東京都台東区西浅草1-6-7)<*2023年8月21日午後訪問撮影>

織田得能(おだ・とくのう) 1860年~1911年。仏教学者、僧侶。
万延元年(1860)、越前坂井郡波寄村(現・福井県福井市波寄町)で真宗大谷派翫香寺住職・生田(いくた)恵海の3男として生まれた。幼名は貞。明治5年(1872)得度、得能と改名。明治12年(1879)福井師範学校卒業、教員となる。明治15年(1882)辞任し、京都の高倉学寮に入学して、仏教学を研究。数年後、上京し、島地黙雷邸に寄寓し、島地黙雷(1838~1911)ともに『三国仏教略史』三巻を著した。これは明治23年(1890)に発刊されたが、わが国における仏教史の草分けともいうべき名著で、中国文にも翻訳された。明治21年~23年(1888~1890)シャムに渡り、南方仏教事情を視察、そのときの見聞は『シャム仏教事情』として出版された。
明治24年(1891)東京浅草松清町にある真宗大谷派立花山宗恩寺に入寺、織田と改姓した。明治24年(1891)哲学館講師。明治31年(1898)巣鴨監獄教誨問題で石川舜台(1842~1931、加賀国金沢生まれ)と対立し、宗門から除名された(3年後復籍)。明治32年(1899)から『仏教大辞典』編纂に着手。織田得能39歳。明治33年(1900)中国に行き、ついで岡倉天心とともにインドに渡った。帰国後、『仏教大辞典』編纂の大事業に傾注。しかし九分九厘完成した明治40年(1907)の夏、脳脊髄炎におかされ、入院。再び立たず、明治44年(1911)8月18日、青山脳病院で52歳で死去。本山よりとくに僧都の称号を贈られた。なお、『仏教大辞典』は上田万年・芳賀矢一・南条文雄・高楠順次郎の四博士の無報酬の努力により、死後5年たった大正5年(1916)完成出版された。わが国の仏教大辞典としては初めての本格的著述。

関連記事

お知らせ

  1. 2024/2/10

    富山市郷土博物館企画展「 館蔵品にみる十村たち ~藩主前田家を支えた江戸時代の豪農~ 」(2024年2月10日~2024年4月21日)@富山市郷土博物館(富山県富山市)
  2. 2024/2/7

    若州一滴文庫収蔵品展「 水上勉の集めた美術の粋」展 作家の選美眼と選ばれた絵画(2024年2月7日~2024年6月3日)@若州一滴文庫(福井県おおい町)
  3. 2024/1/26

    令和5年度越前市武生公会堂記念館 紫式部・源氏物語関連企画展(2)「 越前市へ通じる道 人・モノが行き交う道 」(2024年1月26日~2024年3月24日)@越前市武生公会堂記念館(福井県越前市)
  4. 2023/12/25

    高志の国 文学館 企画展「没後50年 コスモポリタン 翁久允 OKINA kyuin 脱日本人! 展」(2023年12月16日~2024年3月4日)@高志の国 文学館(富山県富山市)
  5. 2023/12/16

    福井県立若狭歴史博物館テーマ展「 ちょっとむかしのくらし展 国鉄小浜線のころ」(2023年12月16日~2024年3月10日)@福井県立若狭歴史博物館(福井県小浜市)
  6. 2023/11/18

    富山市郷土博物館 企画展「とやまの文学」(2023年11月18日~2024年2月4日)@富山市郷土博物館(富山県富山市)
  7. 2023/9/24

    石川県立歴史博物館 令和5年度秋季特別展「御殿の美」(2023年10月14日~11月26日)@石川県立歴史博物館(石川県金沢市)
  8. 2023/9/24

    高志の国 文学館 企画展「ドナルド・キーン 世界から見た日本文学展」(2023年9月24日~11月27日)@高志の国 文学館(富山県富山市)
  9. 2023/9/24

    福井市郷土歴史博物館 秋季特別展「THE 福井駅前 – 地図と写真で振り返る駅前120年の軌跡 -」(2023年10月19日~12月3日)@福井市郷土歴史博物館(福井県福井市)
  10. 2023/9/24

    福井県立歴史博物館 特別展「描かれた川と人々~越前・若狭の利水の歴史~」(2023年10月21日~11月26日)@福井県立歴史博物館(福井県福井市大宮)
過去の記事

ピックアップ記事

  1. 南越三余塾「越的アジア講座」in LUFF Fukui Work & Studio 202…
  2. 南越三余塾「越的アジア講座」in LUFF Fukui Work & Studio 202…
  3. 南越三余塾「越的アジア講座」in LUFF Fukui Work & Studio 202…
  4. 南越三余塾「越的アジア講座」in LUFF Fukui Work & Studio 202…
  5. 南越三余塾「越的アジア講座」in LUFF Fukui Work & Studio 202…
  6. ふくい日曜エッセー「時の風」(2020年11月1日 福井新聞 掲載) 第6回 「心あひの風」 生活…
  7. ふくい日曜エッセー「時の風」(2020年9月6日 福井新聞 掲載) 第5回 「過去の影は未来の約束…
  8. ふくい日曜エッセー「時の風」(2020年7月5日 福井新聞 掲載) 第4回 「越路のたむけ(峠)」…
  9. ふくい日曜エッセー「時の風」(2020年5月3日 福井新聞 掲載) 第3回 「九頭竜に散った折鶴」…
  10. ふくい日曜エッセー「時の風」(2020年3月1日 福井新聞 掲載) 第2回 「ふくい男の立ち姿」 …
ページ上部へ戻る