北陸の文化史跡・遺跡 「六郎塚(六郎杉)」(石川県白山市日御子町)

北陸の文化史跡・遺跡
「六郎塚(六郎杉)」(石川県白山市日御子町)

(写真下:「六郎塚」(石川県白山市日御子町)、2026年5月22日午後訪問撮影)

(写真下:「六郎塚」(石川県白山市日御子町)の案内板、2026年5月22日午後訪問撮影)

白山市指定史跡 六郎塚(ろくろうづか)
所在地 白山市日御子町ハ40番地二
所有者 白山市・日御子神社
「六郎塚」は源平の戦いで木曽義仲に加勢し活躍した林六郎光明(はやしろくろうみつあき)の墳墓と伝えられ、塚にある老杉は「六郎杉(ろくろうすぎ)」とも呼ばれる。江戸時代には「越登賀三州志(えつとがさんしゅうし)」等に記され塚の存在が知られている。林光明は12世紀末頃、北加賀で最も勢力を有した武士団 林 氏の棟梁で、横江庄の所領を白山本宮へ寄進したとされ、白山比咩神社には伝林光明寄進の黒漆螺鈿鞍(くろうるしらでんくら)(重要文化財)が残されている。(また白山市知気寺町や野々市中林等に林 氏の館跡伝承地がある。)
昭和53年(1978年)2月22日指定  白山市・白山市教育委員会

平安時代の終わり頃(12世紀前半)に加賀平野一帯に同族を展開した武士団として林一族が知られる。林一族は、藤原時長の子鎮守府将軍利仁の末裔として現われ、「林介(はやしのすけ)」を称した加賀介貞光の子・林大夫光家と、その弟で加賀介林新介成家の二派が勢力を伸張。寿永2年(1183年)、源義仲(木曽殿)が平氏政権に対して挙兵したことに呼応した加賀の武士団の一つを率いたのが、林大夫光家の子・林光明(はやし・みつあきら)。林光明は、1183年4月、越前燧城の合戦で、平維盛の北陸道追討軍に敗れ、白山麓に引き籠もったが、翌月、加賀・越中国境の礪波山(富山県小矢部市)の合戦で、義仲が維盛軍を破ったことに乗じ、加賀篠原(加賀市篠原町)・安宅(小松市安宅町)の合戦で戦功をあげ、同じ頃、義仲は林光明の所領・横江荘(白山市横江町)を白山権現に寄進したとされる。林光明は、義仲の上洛に従い、その途上、比叡山延暦寺を味方に誘引するため登山したという。義仲は入京後、さらに平氏追討のため山陽道に進軍するが、備中国で先鋒を務めた倉光成氏らが謀殺され大敗を喫した。京都に戻った義仲は後白河法皇との対立が極まり、法皇を幽閉する挙に及んだため、義仲に随った武士も多く離反し、加賀の武士たちも都から落ちていったとされる。

白山比咩神社所蔵の重要文化財黒漆螺鈿鞍は、林光明が戦勝祈願のために奉納したと伝えられる。白山市指定史跡の六郎塚(白山市日御子町)は、林光明墳墓地の伝承を持ち、白山市知気寺町や白山市部入道町にも林光明屋敷跡とする所伝が遺っている。白山市知気寺町の西側に公園があり「林一族館跡」(伝承地)として保存されている。昭和2年(1927年)の「石川縣石川郡誌」では「礎石等により館址たること歴然たり、ふつうこれを六郎城という」と記されている。

(写真下:「六郎塚」(石川県白山市日御子町)、2026年5月22日午後訪問撮影)

映画「透光の樹」のモデルとなった 六郎杉
原作者・高樹のぶ子さんがここを訪れ、この杉の木をモデルにして同名小説を書いた
出演:秋吉久美子 永島敏行  監督:根岸吉太郎

この「六郎塚(六郎杉)」をモデルにしたのが、作家・高樹のぶ子氏で、1999年、谷崎潤一郎賞を受賞した小説「透光の樹」で、本書のストーリーの中でも冒頭から何度か重要な場面で登場し、作品タイトルとも関係する象徴的な場所となっている。小説「透光の樹」は、ヒロインが石川県石川郡鶴来町(2005年に白山市新設合併で廃止)に住む女性で鶴来町を中心にした石川県を主な舞台とした作品。作品の初出は、「文學界」平成9年(1997年)6月号~平成10年(1998年)5月号で、単行本「透光の樹」は、文藝春秋より1999年1月発行。小説「透光の樹」を原作とした映画「透光の樹」(根岸吉太郎監督)は、2004年10月30日公開で、ヒロイン女性を演じる女優の秋吉久美子さんが、相手役の男性を演じる男優の永島敏行さんを相手に、大胆に性愛シーンを演じ大いに話題になった映画。原作の小説や小説をモデルとした映画が公開された当時は、この「六郎塚(六郎杉)」がある場所は、石川県石川郡鶴来町日御子町(ひのみこまち)であったが、20005年に鶴来町が白山市新設合併で廃止となり、現在は、石川県白山市日御子町。原作でも、畑の真ん中ににぼつんとあり、田んぼの中の細い道で目印もなく、場所が分りづらいなどと書かれている。原作の設定では、ヒロインの山崎千桐は住む家は、金剱宮(現・白山市鶴来日詰町)の近くの知守町(現・白山市鶴来知守町)。

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