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南越地域と近代の戦争記憶 「陸軍歩兵第36連隊跡営門・鯖江連隊史蹟碑」(福井県鯖江市三六町)
- 2023/6/25
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南越地域と近代の戦争記憶
「陸軍歩兵第36連隊跡営門・鯖江連隊史蹟碑」(「三六史蹟公園」内、福井県鯖江市三六町)
大日本帝国陸軍歩兵第36連隊は、明治29年(1896年)9月25日、友安治延歩兵大佐が初代歩兵第36連隊長に輔せられ、明治29年(1896年)11月、歩兵第36連隊副官ならびに第一大隊将校相当官の補職や下士官の命課があり、同年12月1日入隊の新兵の受領があって第一大隊の編成が終わる。ただ、当時まだ新設の兵舎が竣工していなかったので、旧名古屋城二の丸にある歩兵第19連隊兵舎の一部を充当。明治30年(1897年)1月26日、名古屋市外東春日井郡守山に新築中であった歩兵第33連隊の兵舎に移転して、しばらく同居していたが、明治30年(1897年)8月20日、駐屯地移転のため守山を出発し、笹島駅より乗車、歩兵第36連隊の衛戍(駐屯)地と定められた福井県鯖江駅に下車し、ここで初めて福井県鯖江の歩兵第36連隊の新兵舎に移転。
明治30年(1897年)12月1日、第2大隊を編成。明治31年(1898年)3月24日、軍旗親授は宮中正殿において行われ、その後、明治31年(1898年)10月1日に第9師団司令部が金沢に創設され、歩兵第36連隊(鯖江連隊)は、同日設置された歩兵第18旅団司令部(敦賀)に属し、第9師団に編入された。
歩兵第36連隊の兵営は、現在の福井県鯖江市三六町を中心とする一帯に定められ、敷地面積は約16ヘクタールであった。連隊には1,500~2,000人の兵士が駐屯しており、兵営東側には連隊関係の建物、商店、飲食店、旅館が建てられ、兵営前商店街が形成されていった。大正13年(1924年)には福井鉄道が敷設され、「兵営駅」(現在の神明駅)ができると、駅前周辺にも商店街ができ、神明町(福井県鯖江市)の町並みが形成されていった。
編成完結時の大日本帝国陸軍第9師団
●第9師団(師団長:大島久直中将)司令部:金沢
明治31年(1898)10月1日創設、1945年廃止
▼歩兵第6旅団(司令部:金沢)
歩兵第7連隊(金沢)+ 歩兵第35連隊(富山)
▼歩兵第18旅団(旅団長:山内長人少将、司令部:敦賀)
歩兵第19連隊(敦賀)+ 歩兵第36連隊(鯖江)
▼騎・野砲各9連隊、工輜第9大隊(金沢)
(写真上:「鯖江連隊史蹟碑」(福井県鯖江市三六町)、2023年5月13日午前訪問撮影)
昭和20年(1945年)8月終戦以来、鯖江歩兵第36連隊跡の建物も土地も逐次民間に売却又は除去され、昭和30年(1955年)ごろには元兵営の地域は三六町として発足。この土地は明治30年(1897)3月連隊が創設されてから、終戦によって陸軍部隊が解除されるまで約50年間、約10万の越前男子が日夜心身及び武技を鍛錬した思い出の多い土地であり、また、日露戦争以来幾多の事変や戦争に出陣し護国の英霊となられた同胞の故里でもあり、この由緒ある地に史跡保存の記念碑を建て、これが保存会を設立して偉勲を永く後世に伝えようとの意見が地元始め鯖江連隊に在隊したことのある有志の方々から起こり、昭和30年(1955年)7月17日、神明小学校にて鯖江連隊史蹟保存会の設立総会が開催され、翌昭和31年(1956年)史蹟碑が建立された。竣工式は昭和31年(1956年)9月執行。
史蹟碑の設計は福井大学美術家の笠原行雄教授によるもので、その構成デザインについては、陸軍の将兵7名が戦場で平和を祈念している実物大の像を聖堂で鋳造し、高さ約4メートルの塔の上に鳩を配置。又、史蹟碑の裏面の碑文は、福井大学文学部の岡田教授に、署は同大学の杉本教授に依頼。
■昭和30年(1955年)発足時の鯖江連隊史蹟保存会
・会長:若泉新一 氏(鯖江市長)
・副会長:品川秋視 氏 (鯖江市議会議長)
・副会長:山本雅雄 氏(元神明町長)
・副会長:笠原善修 氏(福井県世話課長、理事長兼任)
(写真上:陸軍歩兵第36連隊跡営門と掲示板の写真。2023年5月13日午前訪問撮影。同日、三六祭挙行のの日で、営門に国旗掲揚されていた)
福井県英霊顕彰奉賛会(会長福井県知事)では昭和50年(1975)の終戦30周年記念事業として連隊歌碑の建立を計画。建立場所を鯖江連隊史蹟碑のある庭園の一角とし、黒みかげ石の正面に連隊歌の三節を,また裏面には福井県英霊顕彰奉賛会会長・中川福井県知事の趣意書を刻入し、昭和50年(1975年)10月に竣工。
(写真上2枚:鯖江連隊歌碑の表面と裏面。2023年5月13日午前訪問撮影)
(写真上:三六史蹟公園内。2023年5月13日午前訪問撮影)
明治31年(1898年)3月24日、陸軍歩兵連隊第36連隊の軍旗を拝受しているが、軍旗拝受100年記念として、平成10年(1998年)3月24日に、「軍旗100年記念碑」が36史跡公園内に建立(歩兵第36連隊戦友一同・鯖江36連隊史蹟保存会・鯖江市遺族連合会)。あわせて同日(1998年3月24日)、36史蹟公園内に、「日露戦争凱旋記念碑(復元)」を建立。
(写真下5枚:三六史蹟公園内。2023年5月13日午前訪問撮影)
(写真上:三六史蹟公園とその周辺地図掲示板。2023年5月13日午前訪問撮影)
なお、この陸軍歩兵第36連隊跡営門や鯖江連隊史蹟碑がある三六史蹟公園より国道417号線を約250m南の三六公園(福井県鯖江市三六町1丁目)内に、「昭和11年(1936年)当時 鯖江歩兵第三十六連隊兵営図」が掲げられていて、兵営の広さや場所がわかる。
(写真上4枚:鯖江市三六公園内。2023年6月10日午前訪問撮影)