東海地域における北陸ゆかりの地「前田利家卿誕生之遺址と荒子城跡」(愛知県名古屋市中川区荒子4丁目)

東海地域における北陸ゆかりの地
「前田利家卿誕生之遺址と荒子城跡」(愛知県名古屋市中川区荒子4丁目)

(写真上:「前田利家卿誕生之遺址」石碑と荒子城跡(愛知県名古屋市中川区荒子4丁目)<*2024年3月16日午後訪問撮影>

前田利家と荒子城
加賀百万石の藩祖、前田利家は1537(天文6)年(天文7年説あり)、利昌の4男としてこの地に生まれました(前田城説あり)。幼名は犬千代。15歳のとき織田信長に仕え、元服して孫四郎利家と名乗り、信長の尾張統一戦のひとつ海津の戦で初陣を飾りました。22歳のとき、10歳下の「まつ(愛知県七宝町生まれ)」と結婚。この頃、又左衛門利家と名を改めています。若い頃は奇抜な振舞いを好みバサラ者でもありましたが、武勇に優れ「槍の又左」と呼ばれました。桶狭間の戦いの後、美濃攻めの頃から勇士のみに許された赤母衣(あかほろ)衆の筆頭として従軍、33歳のとき、信長の命により荒子城主となりました。利家39歳の時、越前府中(福井県武生市:現・福井県越前市)10万石を佐々成政、不破光治とともに治め、やがて能登一国を領有します。その後は、豊臣秀吉を補佐する大々名に出世、後の加賀百万石の礎を築きあげました。
荒子城は、天文年間、前田利昌の築城と伝えられています。規模は狭い平地に簡単な柵と堀をめぐらし、敵を見張るため屋根の上に櫓を設けただけの砦程度のものでした。城内には、冨士権現社と天満宮が祀られ、今に残されています。また、利家が府中に移る時、荒子観音寺の本堂を再建し、荒子七カ村(屋敷)には、祭に使用する絢爛豪華な馬道具(ばどん)を残していきました(名古屋市指定文化財)。
利家が最も信頼した本座者といわれる「荒子衆」はこの土地の出身者であり、金沢城大手門前には荒子ゆかりの「尾張町」が残っています。時を経てなお、荒子と金沢は、荒子小学校と金沢市立味噌蔵町小学校の姉妹校提携や関連行事の市民参加による交流が続いており、地元の小学校では前田家の梅鉢紋にちなんだ校章が使われています。
2002年(平成14)年NHK大河ドラマ「利家とまつ  ~加賀百万石物語~ 」が放映され、利家生誕地「荒子」が広く全国に紹介されました。中川区で結成された「前田利家発信隊」は、利家ゆかりの史跡を結ぶ「犬千代ルート」を作り、ルートのガイドや、まちおこしに積極的に参加、郷土の英雄利家とともに百万石のふるさと「荒子」を全国に発信しました。 (参考文献『中川区史』他)
2003年3月  名古屋市中川区前田利家発信隊  *利家初陣の図

(写真上:「荒子城跡」案内板(愛知県名古屋市中川区荒子4丁目)<*2024年3月16日午後訪問撮影>

荒子城跡
天文年間(1532~55)前田利昌の築城と伝えられている。その子利久、同じく利家、利家の子利長が相継いで居城した。天正3年(1575)利家が越前国府中(福井県越前市)に、同9年に利長も同地に移るにおよび廃城となったとされている。『尾陽雑記(びようざっき』『古城志(こじょうし)』などによると、この城は東西約68m 南北約50mあり、一重堀を巡らしていたとある。
名古屋市教育委員会

加賀藩主前田氏の祖で、豊臣政権の五大老の一人の前田利家(1537年他諸説あり~1599年)は、出生年についても1537(天文6)年だけでなく、天文7年説など諸説あり、出生地についても、荒子城説と前田城説があり、荒子城説は、荒子城が天文年間(1532~55)前田利昌の築城と伝えられていて、前田利家は、利昌の4男としてこの地に生まれたとするもの。一方、前田城説は、荒子城の場所から東に約2.5kmの前田城(尾張国海東群前田村、現・愛知県名古屋市中川区前田西町1丁目)で生まれ、7歳の時に荒子城に移ってきたという説。

前田利家の父・前田利春(別名・利昌、?~1560年)は、尾張国で織田氏に仕えた土豪で、当初、前田城を居城としていたが(前田城の城主は、利春ではなく前田家の本家筋とみられる)と、天文年間(1532~55)に荒子城が前田利昌により築城され、尾張国荒子城主となり、前田利春(利昌)死後、嫡男の前田利久(?~1587年?)が家督を継ぎ、荒子城主となったが、実子がなく病弱だったこともあり、永禄12年(1569)、主君・織田信長の命により、前田利久の弟の前田利家が前田家の当主となり、荒子城主となる。その後、1575年(天正3年)に利家が越前府中十万石(現・福井県越前市)を与えられたあとは、利家の嫡男で荒子城で生まれた前田利長(1562年~1614年)が荒子城主となるが、1581年(天正9年)に利家が七尾城主となると、父・利家の旧領越前国府中の一部、知行3万3千石を与えられ、越前府中城に移るにおよび荒子城は廃城となったとされている。

この荒子城跡が、冨士天満社(冨士大権現天満天神宮)があり、この冨士天満社(冨士大権現天満天神宮)(愛知県名古屋市中川区荒子4丁目)境内鳥居脇に、「荒子城跡」(名古屋市教育委員会)案内版があり、「冨士社天満社由緒記」があり、奥には、「前田利家卿誕生之遺址」の石碑と「前田利家と荒子城」の案内板がある。祭神は、木花開姫命(このはなさくやひめのみこと、冨士権現)と前田家が祖先としている菅原道真を祀る天満天神。前田利家が荒子城主となり、荒子城の鎮守神として富士権現を勧請し創建したとも言われるが、創建した人物は、荒子城を創建した前田利春(利昌)かとも思われるが、創建年代など詳細は不明。

(写真下:富士天満社(愛知県名古屋市中川区荒子4丁目)<*2024年3月16日午後訪問撮影>

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