東アジアの古代文化(古代朝鮮)「国立金海博物館(국립김해박물관)」(韓国慶尙南道金海市 경상남도 김해시 )

東アジアの古代文化(古代朝鮮)「国立金海博物館(국립김해박물관)」(韓国慶尙南道金海市 경상남도 김해시 )

(写真下:「国立金海博物館」外観(慶尚南道金海市)、2026年4月9日午前訪問撮影)

韓国最南部の釜山の近くの慶尚南道金海市に、1998年7月29日、国立文化機関としての国立博物館が、古代国家加耶の文化遺産を集大成する加耶の文化と歴史をテーマにした考古学専門博物館が開館。展示品は、ほとんと「加耶」遺跡発掘調査出土品で構成されている。伽耶は紀元前後から西暦562年まで、主に洛東江(ナクトンガン)流域を中心に繁栄した小国の総称で、この1~6世紀にかけて朝鮮半島南部に存在した「伽耶」を代表する7つの古墳群が、2023年9月24日に、「伽耶古墳群」として、ユネスコ世界文化遺産に登録されたが、ユネスコ世界文化遺産に登録されたのは、慶尚北道の高霊池山洞古墳群、慶尚南道の金海大成洞古墳群、咸安末伊山古墳群、昌寧校洞・松峴洞古墳群、固城松鶴洞古墳群、陜川玉田古墳群、全羅北道の南原酉谷里・斗洛里古墳群の7カ所。

伽耶は、紀元前後頃に始まる朝鮮半島の原三国時代(のちの新羅・百済・高句麗が成立する原初期で、古代国家成立の諸条件が整えられた時期)に勃興し、中国の史書「三国志」には、弁辰(伽耶地域の古名)が、豊富な鉄を媒介として周辺諸国と交易を盛んに行っている様子が記されている。西暦313年から翌年にかけて、北の高句麗からの攻勢により、中国の楽浪・帯方の2郡が相次いで朝鮮半島から撤退し、中国の朝鮮半島への影響力が弱まり、朝鮮半島の三韓(馬韓・辰韓・弁韓)は勢力の著しく増大され、この中から、馬韓の伯済が周辺の小国を統合して百済となり、辰韓の斯盧も同様に新羅へと発展し、三国時代の開始を迎えるが、百済・新羅に統合されずに残った洛東江流域を中心に分布する辰韓・弁韓の小国も、このような国際的な緊張関係の中で、独自の勢力を維持するため、狗耶韓国が金官国に、安邪国が安羅国というように、それぞれが成長して伽耶諸国が生まれる。文献には、金官加耶、大加耶、小加耶、阿羅加耶など、10を越える国々の名前が確認できるが、伽耶滅亡まで連盟は生まれるも分立したまま統合はされず。

伽耶の歴史は、前期(4~5世紀前半)、後期(5世紀中葉~562年)の二つに大別することができるが、4世紀には成立していた加耶諸国の中で、最初に力を誇ったのは、金官伽耶で、洛東江の河口に位置する今の慶尚南道金海市一帯に中心があり、かつてその一帯は「古金海湾」と呼ばれる湾。金官伽耶はこの天然の良港を掌握し、東アジアの様々な社会と活発に対外交流を重ね、また鉄を大々的に生産し、それを交易品として活用し、鉄生産と海上交易を一体として運営し、金官伽耶の隆盛を誇る。が、5世紀を迎える頃、金官伽耶は、北の高句麗の攻撃を受け、洛東江東岸の国々は、5世紀中頃から次第に新羅の圧迫を受けるようになり、徐々に弱体化し、532年には前期の中心勢力であった金官国が新羅に滅ぼされる。一方、伽耶諸国の前期盟主としての金官伽耶に代わり、伽耶諸国の後期盟主となるのは、今の慶尚北道高霊郡を中心とする大伽耶。高霊の大伽耶は、5世紀中頃から大きく成長し、この大伽耶を中心に後期伽耶が展開。大伽耶は新羅勢力に対応するため、洛東江西岸の国々と連盟し勢力を保つ。479年には加耶諸国の中で唯一、中国への遣使を実現させるほどの勢力を誇り、倭とも密接な交流を積み重ねるが、6世紀に入ると、大伽耶連盟を構成していた己汶国と滞沙国が百済に併合され、562年には、大加耶が新羅に併合され、伽耶が滅亡する。

国立金海博物館は、この伽耶諸国の前期盟主たる金官伽耶の故地に建てられて、金官伽耶の建国説話に伝わる金海市の亀旨峰丘陵に位置しているが、その展示は、金海一帯に繁栄した金官伽耶に関する出土品に限らず、広く「伽耶」全体に関する文化と歴史を紹介する国立博物館となっている。慶尚南道初の国立博物館として1984年11月に開館した国立晋州博物館は、1978年12月に当初の開館建設案が確定し、もともとは、伽耶の歴史と文化を紹介する代表的施設として1984年11月に開館。1998年の国立金海博物館の設立により、国立晋州博物館は、1998年1月、壬辰倭乱(文禄慶長の役)専門博物館として再開館となっている。「加耶」の文化財が中心とし展示されているが、釜山・慶尚南道において先史時代の文化や加耶の成長基盤となった「弁韓」の文化遺産をも紹介している。加耶は、ほかの古代国家に比べ歴史記録が殆ど残されてないため、遺物・遺跡の発掘調査が行われてきたことで加耶史の復元が可能となったため、国立金海博物館をはじめ、伽耶に関する各地域の博物館も古墳群に隣接する場所に建つ考古学専門の博物館として特徴付けられている。国立金海博物館のすぐ近くにも、金海大成洞古墳群があり。

国立金海博物館の常設展示は、1階「加耶への道」と、2階の「加耶と加耶の人々」に大別され、1階「加耶への道」では、加耶以前の人々の暮らしと文化、そして加耶の登場から発展、衰退に至るまでの様子を、「1部 加耶以前の人々の暮らしと文化」「2部  加耶の黎明」「3部 加耶の発展」「4部 新羅勢力の拡散」と、4部構成で時系列に沿って紹介。第1章から第27章まで更に分けて紹介。一方、2階の「加耶と加耶の人々」では、「5部 加耶の趣を込める」「6部 加耶人の暮らし」「7部 加耶の土器」「8部 鉄の王国 加耶」「9部 海上王国、加耶」と、5部構成で、5つの主要テーマに分けて紹介。第28章から第52章まで更に分けて紹介。

1階 「加耶への道」
1部  加耶以前の人々の暮らしと文化
第1章:最も古い生活の痕跡
第2章:韓国で最も古い船/ 川と海に出る
第3章:貝塚
第4章:新しい環境に適応する
第5章:土器の登場
第6章:新石器時代の人々の生と死
第7章:農耕と村の誕生
第8章:青銅器時代の生活ー石で作った土器
第9章:青銅器時代の生活ー無文土器
第10章:赤色磨研土器と彩文土器/ 赤色磨研土器
第11章:支石墓ー農耕社会の記念物/ 磨製石剣
2部 加耶の黎明
第12章:鉄器の使用
第13章:粘土帯土器文化の登場
第14章:瓦質土器 ー 製作技術の革新
第15章:漆塗り ー 色を着た木器
第16章:海上交易網の拠点
第17章:剣、鏡、玉
第18章:有力者の墓 ー 昌原茶戸里1号
3部 加耶の発展
第19章:硬い土器の登場、そして盛大な葬儀
第20章:馬具と様々な鉄製品
第21章:外来物品
第22章:阿羅伽耶と大伽耶の発展
第23章:有蓋長頸壺 ー 鉢形器大
第24章:龍・鳳凰装飾環頭太刀、環頭太刀
第25章:有刺利器
4部 新羅勢力の拡散
第26章:昌寧地域の新羅の文物
第27章:伽耶から新羅へ

(写真下:「国立金海博物館」(慶尚南道金海市)1階入口「加耶歓迎の部屋」、2026年4月9日午前訪問撮影)
加耶文化が花開いた洛東江の下流地域は、旧石器時代から環境に適応して生きていく先史時代の人々の暮らしの痕跡が残っていて、昔の金海湾を中心に行われた国際交流は、社会の変化を促し、加耶が成長して発展する土台となった。昔の金海湾を中心に暮らしていた人々の各時代の変化の様子を紹介。

(写真下:「国立金海博物館」1階の「年表」、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の1部第2章(新石器時代の舟(復元品))、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の1部第2章(櫓)、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の1部第2章、2026年4月9日午前訪問撮影)
東南海岸一帯の遺跡から発見された黒曜石と日本の縄文土器は日本の九州地域と交流していた様子を示す。

(写真下:「国立金海博物館」1階の1部第4章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の1部第5章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の1部第6章(土器・環玉・足輪・貝釧)、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の2部第12章、2026年4月9日午前訪問撮影)*昔の加耶地域では、紀元前2世紀頃に鉄器が現われる。

(写真下:「国立金海博物館」1階の2部第13章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の2部第14章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の2部第15章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の2部第16章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の2部第16章、2026年4月9日午前訪問撮影)*奥の左側の展示

(写真下:「国立金海博物館」1階の2部第18章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の3部、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の3部第19章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の3部第20章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の3部第21章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の3部第22章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の3部第23章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の3部第24章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」1階の3部第25章、2026年4月9日午前訪問撮影)

2階 「加耶と加耶の人々」
5部  加耶の趣を込める
第28章:伽耶の耳飾、冠、腰/ 伽耶の冠/ 伽耶の首飾、腕輪
6部  加耶人の暮らし
第29章:伽耶の都城と宮城の姿が現れる
第30章:土地を耕して収穫する
第31章:魚を掴まえ貝を掘る
第32章:衣服を仕立てる
第33章:生の軌跡、貝塚
第34章:切望する気持ちを込める
第35章:魂の伝達者
第36章:歴史と文化が積み重なった風景
7部  優美な加耶土器
第37章:伽耶の人々は何を食べたのだろうか?
第38章:忍苦の時間で作り上げた伽耶土器
第39章:目で一度、耳でもう一度
第40章:文と記号を使う。
第41章:形も柄も色とりどり
第42章:別々に、または一緒に
第43章:豊穣と安寧を祈る
第44章:霊魂を慰める食べ物
第45章:他国の見慣れない香りが留まる
8部  鉄の王国、加耶
第46章:伽耶戦士の象徴、鎧と兜
第47章:馬も勇猛な戦士だ
第48章:弓矢を引く
第49章:武器、国を守り権威を現す
第50章:鉄を使い希望と未来を込める
9部  海上王国、加耶
第51章:自律と共存の水路
第52章:東アジアの海を駆け巡った伽耶の船

(写真下:「国立金海博物館」2階の5部、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の6部第28章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の6部第29章、2026年4月9日午前訪問撮影)


(写真下:「国立金海博物館」2階の6部第30・31・32章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の6部第33章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の6部第35章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の6部第36章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の7部第41章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の7部第42章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の7部第44章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の7部第45章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の8部、2026年4月9日午前訪問撮影)


(写真下:「国立金海博物館」2階の8部第46章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の8部第47章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の8部第48章・49章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の8部第50章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の9部第51章、2026年4月9日午前訪問撮影)

(写真下:「国立金海博物館」2階の9部第52章、2026年4月9日午前訪問撮影)

関連記事

お知らせ

  1. 2026/5/24

    SABAE BOOK FES 2026(2026年10月31日)@鯖江市文化の館(福井県鯖江市)
  2. 2026/4/21

    第13回 BOOK DAY とやま(2026年5月23日~5月24日)@富山駅南北自由通路(富山県富山市)
  3. 2026/3/25

    石川県立歴史博物館 令和8年度春季特別展「鷹と加賀前田家」(2026年4月25日~2026年6月7日)@石川県立歴史博物館(石川県金沢市)
  4. 2026/3/20

    一乗谷朝倉氏遺跡博物館 トピック展「秀吉のみた朝倉氏の落日」(2026年3月20日~2026年5月10日)@一乗谷朝倉氏遺跡博物館(福井県福井市)
  5. 2026/1/21

    石川近代文学館 出張展示「文学に描かれた いしかわ」(2026年3月3日~2026年3月10日)@石川県政記念しいのき迎賓館(石川県金沢市)
  6. 2025/12/23

    高志の国文学館 企画展「富山が生んだ直木賞作家・源氏鶏太 展」(2026年1月17日~2026年3月9日)@高志の国文学館(富山県富山市)
  7. 2025/12/20

    石川県九谷焼美術館 企画展「九谷赤絵の極地 ー 宮本屋窯と飯田屋八郎右衛門の世界」(2025年12月20日~2026年6月28日、期間途中に休みあり)@(石川県加賀市大聖寺地方町)
  8. 2025/12/6

    泉鏡花記念館 企画展「鏡花本の絵師たち」(2025年12月6日~2026年5月17日)@泉鏡花記念館(石川県金沢市)
  9. 2025/11/1

    福井県ふるさと文学館 秋季企画展「没後5年 藤田宜永 展」(2025年11月1日~2026年1月18日)@福井県ふるさと文学館(福井県福井市)
  10. 2025/10/25

    いしかわ古書フェス(2025年11月2日・3日)@金沢駅東口・もてなしドーム地下広場(石川県金沢市)
過去の記事

ピックアップ記事

  1. 東アジアの古代文化(古代朝鮮)「国立金海博物館(국립김해박물관)」(韓国慶尙南道金海市 경상남도 김…
  2. 東アジアの「越」世界関連書籍 第1回【南越国】 「广州秦汉考古三大发现」(广州市文化局 编、广州出…
  3. 歴史舞台としての中国西南部・南部 第1回 「秦の始皇帝と越(百越)族」 中国史と百越(戦国…
  4. 北陸ゆかりの作家 「森山 啓」(1904年~1991年) 森山啓(本名:森松慶治)氏は、富…
  5. ふくい日曜エッセー「時の風」(2020年11月1日 福井新聞 掲載) 第6回 「心あひの風」 生活…
ページ上部へ戻る