首都圏の中の北陸ゆかりの地「越前堀跡と越前福井藩松平家の江戸中屋敷」(東京都中央区新川1、2丁目地域)

首都圏の中の北陸ゆかりの地
「越前堀跡と越前福井藩松平家の江戸中屋敷」(東京都中央区新川1、2丁目地域)


(写真上:「越前堀跡」説明板(中央区立越前堀児童公園、東京都中央区新川1丁目12-1)<*2023年10月14日午後訪問撮影>

越前堀跡 所在地 東京戸中央区新川1、2丁目地域
江戸時代、この辺りは越前福井藩主、松平越前守の屋敷地でした。屋敷は三方が入堀に囲まれ、これが「越前堀」と通称されていました。越前堀の護岸は石積で、今でも建設工事中や遺跡の調査中に、越前堀のものとみられる石垣石が出土することがあります。堀の幅は12~15間(20~30m程)もあり、運河としても用いられ、荷を積んだ小舟が通っていたようです。
明治になり、越前守の屋敷地が「越前堀」という町名となりましたが、堀は次第に埋め立てられて行きます。大正12年(1923)の関東大震災以後、一部を残して大部分が埋め立てられ、わずかに残っていた隅田川に近い部分も、戦後完全に埋め立てられました。その後町名が改められ、「新川」となって現在に至っています。
今では往時をしのぶ「越前掘」の名は、ここの越前堀公園にみられるのみとなりました。
平成17年(2005年)3月 中央区教育委員会

(写真上:出土した越前堀の石垣石(中央区立越前堀児童公園、東京都中央区新川1丁目12-1)<*2023年10月14日午後訪問撮影>

出土した越前堀の石垣石
(写真のキャプション)地下から現われた越前堀の石積[正面・南西より]
(写真のキャプション)石積の断面[南東より]
(図のキャプション)越前堀の石積の断面模式図
ここに展示した石は、「石垣石」と呼ばれる越前掘の護岸に用いられたものです。平成18年(2006年)、新川2丁目で行われた遺跡の発掘調査で見つかりました。その一部を、ゆかりのある当公園内の堀跡付近に移設しました。
江戸時代、この辺りは越前国福井藩主、松平越前守の屋敷地でした。屋敷は三方が堀に囲まれ、
これが「越前堀」と通称されていました。越前堀の護岸は石積で、今でも土木工事や遺跡の調査中に出土することがあります。堀の幅は12~15間(20~30m程)もあり、運河としても用いられ、荷を積んだ小舟が通っていたようです。
明治になり、越前守の屋敷地が「越前堀」という町名となりましたが、堀は次第に埋め立てられて行きます。大正12年(1923)の関東大震災以後、一部を残して大部分が埋め立てられ、わずかに残っていた隅田川に近い部分も、戦後完全に埋め立てられました。その後町名が改められ、「新川」となって現在にいたります。
今では往時をしのぶ「越前掘」の名は、ここの越前堀公園にみられるのみとなりました。なお、この公演は、関東大震災後につくられた「帝都復興小公園」の一つである「越前堀公園」からはじまります。
平成20年(2008年)3月 中央区教育委員会

(写真上:中央区立越前堀児童公園(東京都中央区新川1丁目12-1)<*2023年10月14日午後訪問撮影>

(写真上:「霊巌島之碑」と「霊巌島の由来」案内板(中央区立越前堀児童公園内、東京都中央区新川1丁目12-1)<*2023年10月14日午後訪問撮影>

霊巌島の由来 
当地区は、今から370~80年前、江戸の城下町が開拓される頃は、一面の沼地葭原であった。寛永元年(1624年)に、雄誉霊巌上人が霊巌寺を創建して、土地開発の第一歩を踏み出し、同11年(1635年)には、寺地の南方に。越前福井の藩主松平忠昌が27,000余坪におよぶ浜屋敷を拝領した。邸の北、西、南三面に船入堀が掘られて後に越前堀の地名の起こる原因となった。
明暦3年(1657年)の江戸の大火で、霊巌寺は全焼して深川白河町に転じ、跡地は公儀用地となって市内の町町が替地として集団的に移ってきた。
明治大正年間には富島町、浜町、四日市町、塩町、大川端町、川口町、長崎町、霊巌島町、銀町、東港町、新船松町、越前堀、南新堀の13町に分れ、多額納税者も多数居住して検潮観測所もあり、湾内海運の発着地、倉庫地帯として下町商業の中心地であった。大正の大震災により全部焦土と化し、昭和6年(1931)7月区画整理によって、ゆかり深い町名も新川1、2丁目・霊岸島1、2丁目・越前堀1、2、3丁目と改称され、さらに昭和46年(1971)住居表示制度の実施により新川1、2丁目となった。江戸時代からの歴史を象徴する懐しい遺跡も消えつつあるのを憂慮してこの記念碑を建立する。
昭和52年(1977)3月 巌島保存会

 *松平忠昌(1598~1645):越前国福井藩3代藩主。結城秀康の次男で、越前国福井藩2代藩主松平忠直の同母弟。

(写真上:「霊巌寺跡」案内板(中央区立越前堀児童公園内、東京都中央区新川1丁目12-1)<*2023年10月14日午後訪問撮影>

霊巌寺跡(れいがんじあと) 所在地 新川1丁目、2丁目1・2・5・6・13番あたり
江戸時代初期の寛永元年(1624年)、今の日本橋川と亀島川、隅田川に囲まれた埋め立て地であったこの地に霊巌寺が開山したことで、島の名は霊巌島となりました。霊巌寺を開山した霊巌和尚は、駿河国沼津(現静岡県沼津市)で生まれ、下総国生実(おゆみ)(現千葉県千葉市)の大巌寺(だいがんじ)で修行し、徳川家康、秀忠、家光と三代の将軍の帰依を受けた人物であり、後に京都の浄土宗総本山、知恩院の住職となりました。霊巌寺はこのように格式の高いお寺で、2万坪、約6万6千平米もの寺域を幕府から与えられましたが、明暦3年(1657)に起きた明暦の大火で焼失し、深川(現江東区白河1丁目)へと移転しました。霊巌寺は現存しており、幕府老中をつとめた松平定信などのお墓があります。
霊巌寺がこの地にあったのはわずか30年余の短い間でした。跡地は町人地となり、町名の一部などで「霊巌島」の地名は続きましたが、昭和46年(1971)に町名が変更されたことにより地名は失われてしまいました。
かつて新川の地が霊巌島という島であり、そこに格式の高いお寺があったことをうかがわせる地名が無くなった今、当時の面影をみることができるのは、今もほぼ変わることなく川に囲まれた新川のまちの形くらいとなりました。

令和5年(2023)6月 中央区教育委員会

越前堀児童公園内ではないが、近くの中央区新川2丁目28-1の八重洲通り沿道の植え込みに、「越前堀の間知石」とその案内版がある。
(写真下:「越前堀の間知石」案内板(中央区新川2丁目28-1の八重洲通り沿道)<*2023年10月14日午後訪問撮影>

越前堀の間知石 
江戸時代、この辺りには越前福井藩・松平家の中屋敷がありました。
屋敷は隅田川に面しており、三面にお堀がめぐらされていました。このお堀は「越前堀」と呼ばれ旧町名のもとにもなりました。
この植え込みに配置されている大きな間知石は、お堀の石垣の根石として用いられたものと推測されます。
左の図は築地八町堀日本橋南絵図全(万延元年(1860)東京都立中央図書館所蔵)より抜粋したものに現在の道路を重ね合わせたものです。  東京都第一建設事務所

(写真下:旧越前堀や旧霊岸島の地名も表示する地図案内板<*2023年10月14日午後訪問撮影>

(写真下:越前堀の町名は無くなっているが、かつての町名を冠した店として大正12年(1923)創業で10階建て自社ビルの「越前堀薬局」(中央区新川2丁目17-12)<*2023年10月14日午後訪問撮影>

(写真下:霊岸島の町銘は無くなっているが、かつての町名を残す「霊岸島交差点」(中央区新川1丁目5-13)<*2023年10月14日午後訪問撮影>

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