首都圏の中の北陸ゆかりの地
「杉田玄白墓と栄閑院」(東京都港区虎ノ門3丁目)

(写真上:栄閑院(東京都港区虎ノ門3丁目10-10)<*2023年9月22日午後訪問撮影>

都史跡 杉田玄白墓<門脇の壁の案内板より>
所在 港区西久保巴町98 栄閑院内
指定 昭和41年(1966)3月17日
杉田玄白(1733~1817)は江戸中期の蘭方医、蘭学の祖である。若狭小浜藩の藩医杉田甫仙の子、名は翼、字は子鳳、号は鷧斎、九幸翁など。江戸に生まれ、西玄哲に外科、西幸作にオランダ外科を学んだ。前野良沢、桂川甫周らとオランダ語解剖書を翻訳した『解体新書』は日本医学史上画期的な文献である。文化12年(1815)に脱稿した『蘭学事始』は『解体新書』翻訳の苦心談を回想した点で有名である。このほか「形影夜話」「野叟独話」などの著書がある。
昭和43年(1968)3月1日 建設  東京都教育委員会

(写真上:栄閑院内の杉田玄白墓(東京都港区虎ノ門3-10-10)<*2023年9月22日午後訪問撮影>
”九幸杉田先生之墓”(杉田玄白の号が「九幸」で、”幸”という字の隷書体と、”杉”という字の隷書体)
(写真上:栄閑院内の杉田玄白墓(東京都港区虎ノ門3-10-10)<*2023年9月22日午後訪問撮影>
墓石の右側面:故杉田玄白 贈正四位 明治40年11月15日 宮内大臣正ニ位勲一等伯爵田中光顕奉
墓石の左側面:文化14丁丑年4月17日歿

杉田玄白 1733年10月20日(享保18年9月13日) – 1817年6月1日(文化14年4月17日)
小浜藩の家臣で外科医杉田甫仙の三男として、享保18年(1733年)、江戸牛込の小浜藩藩主酒井家の下屋敷(現在の新宿区矢来町)に生れ、元文5年 (1740年)父に従い一家で小浜へ移り、父が江戸詰めを命じられる延享2年 (1745年)まで過ごす。諱は翼(たすく)、字は子鳳(しほう)、号は鷧斎(いさい)。
寛延2年(1749)幕府に仕える外科医西玄哲にオランダ流の外科を学び、宝暦3年(1753)小浜藩医として召し抱えられる。宝暦4年(1754)山脇東洋による解剖を知らされる。宝暦7年(1757)小浜藩に籍を置きながら日本橋に町医者として開業。明和6年(1769)藩主 酒井忠貫の参勤交代に従い小浜へ行き、また、父 甫仙死去に伴い、家督30人扶持を相続し、小浜藩侍医(藩主の主治医)となる。
明和8年(1771)中川淳庵の仲介でオランダ語の解剖書「ターヘル・アナトミア」を入手。前野良沢、中川淳庵とともに、江戸小塚原(こづかっぱら)の刑場で行われた刑死体の解剖に立ち会ったとき、持参していたオランダの医学書「ターヘル・アナトミア」の解剖図の正確さに驚き、翻訳を決意し、腑分けをみた翌日から前野良沢の家に集まって「ターヘル・アナトミア」の翻訳を始め、安永2年(1773)「ターヘル・アナトミア」の翻訳をほぼ完成し、その予告版である「解体約図」を出版。安永3年(17749「解体新書」を完成させ「解体新書」全5巻を出版。
安永7年(1778)大槻玄沢が玄白の私塾 天真楼に入門。天明5年(1785)藩主 酒井忠貫の参勤交代に従い小浜へ行く。寛政7年(1795)建部清庵との手紙のやりとりをまとめた「和蘭医事問答」を出版。文化7年(1810)「形影夜話」を出版。文化12年(1815)回顧録「蘭学事始」が完成。「蘭学事始」は、杉田玄白死後50年以上経った明治2年(1869)福沢諭吉が出版。
文化14年(1817)江戸の自宅で死去。

(写真上:栄閑院(東京都港区虎ノ門3丁目10-10)<*2023年9月22日午後訪問撮影>

久遠山 栄閑院(俗称 猿寺)浄土宗 東京都港区虎ノ門3-10-10
愛宕下西久保の光明山天徳寺(本寺京都知恩院)の塔頭として創立、俊誉円応和尚を開山とし、創立時不祥なれど、開山遷化が寛永2年(1625)6月23日なので、それ以前と考えられる。以後、明和3年(1766)、嘉永3年(1850)に火災により類焼。嘉永4年(1851)第10代晃誉大光和尚により再建するも、大正12年(1923)9月の関東大震災で類焼す。昭和10年(1935)第16代順誉諦謙和尚の時、現在の本堂・庫裡・書院を再建。文化14年(1817)、解体新書を著した蘭学の祖、杉田玄白が栄閑院に埋葬され、その墓は大将13年(1924)2月に東京府より史跡として仮指定され、昭和41年(1966)3月に改めて東京都より史跡として指定を受けている、なお、栄閑院は昔、猿廻しの猿がいたことより俗に猿寺といわれている(他説もあり)

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