東海地域における北陸ゆかりの地「前田利家卿御遺址・前田城址と前田速念寺」(愛知県名古屋市中川区前田西町1丁目)

東海地域における北陸ゆかりの地
「前田利家卿御遺址・前田城址と前田速念寺」(愛知県名古屋市中川区前田西町1丁目)

(写真下:前田速念寺山門(愛知県名古屋市中川区前田西町1丁目)<*2024年3月16日午後訪問撮影>

前田速念寺の由来
速念寺は加賀百万石の太守前田利家公寄進になる阿弥陀如来を本尊としている。ここはもと海東郡前田村と言い、前田城があり、前田氏発祥の地である。利家公も前田で生まれ、幼少にして前田城の出城(でじろ)、新設の荒子城に移って成長したとするのが寺伝である。前田氏は菅原道真公を祖と仰ぎ、梅鉢の紋を用いる。
前田氏は織田信長に属し、西に蟹江城、東に荒子城、南に一色城、等を支配し、前田城はその中心であった。前田城は天正12年(1584)長久手の合戦ののち、秀吉方についたため、家康方の攻撃を受け落城。城主与十郎は蟹江で討死、その子長種(ながたね)は北陸にのがれて利家に仕え、1万石(のち2万石)を得た。利家の長女幸(こう)を妻とした。
利家の叔父前田利則は、出家して意休と号し、浄土真宗速念寺初代となり、速念寺は前田氏の鎮魂の寺となった。
境内には、前田家古墳や最後の城主与十郎の墓がある。また明治に建立された利家公の記念碑や、中部石川県人会のシンボル碑がある。 平成13年(2001)11月 前田速念寺

加賀藩主前田氏の祖で、豊臣政権の五大老の一人の前田利家(1537年他諸説あり~1599年)は、出生年についても1537(天文6)年だけでなく、天文7年説など諸説あり、出生地についても、荒子城説と前田城説があり、荒子城説は、荒子城が天文年間(1532~55)前田利昌の築城と伝えられていて、前田利家は、利昌の4男としてこの地に生まれたとするもの。一方、前田城説は、荒子城の場所から東に約2.5kmの前田城(尾張国海東郡前田村、現・愛知県名古屋市中川区前田西町1丁目)で生まれ、7歳の時に荒子城に移ってきたという説。

前田城は、前田利昌ー前田利家父子の一族ではなく、加賀前田家の本家筋にあたると言われる前田家の居城で、前田発祥の地であり、前田城を拠点に周辺を支配していた織田家に仕える土豪であったが、前田利家の父・前田利春(別名・利昌、?~1560年)は、当初、前田城を居城としていたが、天文年間(1532~55)に荒子城が前田利昌により築城され、尾張国荒子城主となり、荒子城主は、前田利春(利昌)の嫡男の前田利久(?~1587年?)が家督を継ぎ、更に、永禄12年(1569)には、主君・織田信長の命により、前田利久の弟の前田利家が荒子前田家の当主となり、荒子城主となるが、まだ発祥の地である前田城は、引き続き、加賀前田家の本家筋にあたると言われる前田家(前田与十郎家)が城主となっていた。

そして、前田城主の前田家(前田与十郎家)は織田信長の家臣であったが、本能寺の変後は信長の次男・信雄に仕えるが、天正12年(1584)小牧・長久手の戦いで、滝川一益の誘いで羽柴秀吉陣営に寝返るが、蟹江城合戦で、織田信雄・徳川家康の連合軍に破れ、最期の前田城主となる前田長定(前田与十郎、?~1584年)は蟹江で、徳川家康の命で妻と共に殺される。前田長定の子・前田長種(1550~1631)は、前田城の南方の下之一色城(現・名古屋市中川区下之一色町)にいたが、降伏し、能登七尾城主の前田利家を頼りに家臣となる(のちに、前田利家・まつの尾張荒子で生まれた長女・幸を妻とし、2万石の加賀小松城代となり、加賀八家・前田対馬守当主となる)。前田城は破却され、のちに前田城跡に速念寺が建立される。

前田速念寺境内の本堂脇には、前田城主前田家古墳三基(伝 仲利・利成ほか 16世紀)や、1584年の蟹江城の戦で戦死した最後の前田城の城主・前田与十郎(前田長定)の墓があり、境内の別の場所には、「前田古城址」の碑が建ち、その横には、中部石川県人会の碑が建っている。

(写真下:前田速念寺境内(愛知県名古屋市中川区前田西町1丁目)<*2024年3月16日午後訪問撮影>

(写真下:前田速念寺本堂(愛知県名古屋市中川区前田西町1丁目)<*2024年3月16日午後訪問撮影>

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