首都圏の中の北陸ゆかりの地「梅田雲浜の墓と海禅寺」(東京都台東区松が谷3丁目3)

首都圏の中の北陸ゆかりの地
「梅田雲浜の墓と海禅寺」(東京都台東区松が谷3丁目3)

(写真下:「梅田雲浜の墓と海禅寺」(東京都台東区松が谷3丁目3)<*2024年3月25日午後訪問撮影>
(写真上:「海禅寺」(東京都台東区松が谷3丁目3)<*2024年3月17日午後訪問撮影>

梅田雲浜墓(うめだ うんぴん はか)台東区松が谷3丁目3番3号 海禅寺
雲浜は名を始め義質、のち改めて定明といった。通称は源次郎。雲浜は号である。若狭国小浜(現、福井県)藩士、矢部岩十郎の二男として、文化12年(1815)6月7日生まれ、のち祖父の生家梅田氏を継いで改姓した。朱子学を修め、大津、京都で子弟を教える。嘉永5年(1852)、幕府を批判したため小浜藩を追放される。しかし藤田東湖・佐久間象山・高杉晋作らと交際し、尊王攘夷論を唱え、梁川星巖(やながわ・せいがん)とともに在京志士を指導した。その活動は常に幕政批判で、開国論者の大老井伊直弼排斥も企てたが、安政5年(1858)の「安政の大獄」で捕えられた。翌6年(1859)9月14日、小倉藩江戸邸の獄中で病没。遺体は海禅寺内の泊船軒に仮埋葬され、文久2年(1862)現存の墓石が建てられた。墓石は関東大震災で大破したが、正面に「勝倫斎俊巖義哲居士」と、戒名が刻まれている。
平成7年(1995)3月 台東区教育委員会

梅田雲浜は、安政5年(1858年)9月7日、京の邸にて、安政の大獄の発端として、最初の捕縛者となり投獄され、同年12月25日、京都を発し江戸に送られ、安政6年(1859年)正月9日、江戸着。江戸では豊前小倉藩小笠原家の江戸屋敷に預けられ、安政6年(1859年)9月14日、幽閉中に獄死。遺体は海禅寺内の泊船軒に仮埋葬され、文久2年(1862)12月、町奉行所から小笠原家に、梅田雲浜の赦免の旨が申し渡され、同時に墓石建立も許可され、文久3年(1863年)、小笠原家が、海禅寺に、現存の梅田雲浜の墓石を建立。墓石は関東大震災で大破したが、正面に「勝倫斎俊巖義哲居士」と、戒名が刻まれている。                     

(写真下:「梅田雲浜の墓(向かって右)と藤井尚弼(向かって左)の墓」(東京都台東区松が谷3丁目3)
<*2024年3月25日午後訪問撮影>

「勝倫齋俊巖義哲居士(右)」が、梅田雲浜の墓で、「養源院殿寶應宗真居士(左)」は、藤井尚弼(ふじい・なおすけ)の墓。藤井尚弼(文政8年(1825年)~安政6年(1859年)9月1日)

(写真下:「梅田雲浜の墓」(東京都台東区松が谷3丁目3)<*2024年3月25日午後訪問撮影>

(写真下:「藤井尚弼の墓」(東京都台東区松が谷3丁目3)<*2024年3月25日午後訪問撮影>

海禅寺に立つ梅田雲浜の墓の隣の墓は、藤井尚弼(ふじい なおすけ、文政8年(1825年)~安政6年(1859年)9月1日)の墓で、藤井尚弼、朝廷に仕える官人で、尊王思想に厚く志士たちと多く交流し、そのために、安政5年(1858年)安政の大獄により、捕縛され、翌安政6年(1859年)、京都より江戸に送られ、梅田雲浜と同様に、豊前小倉藩小笠原家の江戸屋敷に預けられ、安政6年(1859年)9月1日、幽閉中に獄死。遺体は海禅寺内の泊船軒に仮埋葬され、後に墓石が建てられた。戒名は、「養源院殿寶應宗真居士」。

(写真下:「海禅寺」(東京都台東区松が谷3丁目3)<*2024年3月25日午後訪問撮影>
*梅田雲浜の墓がある墓所は、上の写真の左側奥を入っていったところにある。

海禅寺は、東京都台東区松が谷3丁目3にある、臨済宗妙心寺派の寺院で、山号を大雄山と号し、寛永元年(1624年)、神田明神の北の湯島の地に創建されたが、明暦の大火(1657年)の後、現在の浅草に移転。数多くの大名、旗本が檀家として名を連ね、梅田雲浜が身を預けられていた豊前国小倉藩小笠原家もその一つ。尚、昭和45年(1970年)、東京・浅草の海禅寺から分骨されて、梅田雲浜の墓が、出身地の福井県小浜市にある、梅田雲浜の生家の矢部家の菩提寺である松源寺に建立された。

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